W.刃物業界ヒアリング概要

 以下は今回の調査に当たり、関市内の刃物関係企業の経営者等にヒアリングを行った結果の概要を整理したものである。もとより本ヒアリングには限界があり、これが刃物業界全体の動向を示すものではない。また、発言順は各項目間で統一されているものではない。
 なお、本ヒアリングは、個別聴取方式により、数名の経営者等を対象に1999年12月3日(金)〜12月8日(水)に実施した。

W−1.刃物製造・売上・輸出入等の現状

  • 当社はキッチングッズを主に扱っているが、国内と海外取引の比率は8:2の割合である。国内のうちル−トセ−ルスと特販の割合も8:2か、もしくは7:3くらいである。オイルショック前のピ−ク時には輸出が6割を占めていたが、内需転換を図ったのは関市内でも最も早かったと認識している。小売店における販売スペ−スが年−縮小しているのに加え、店自体の売上も落ちていることから、当社も影響を受けている。
  • バブル景気の頃は、かなり高額なキッチンツ−ルも売れた。今では一流百貨店でも 2,000円のものが限度。500円程度のものが主流である。100円ショップで扱っている商品は中国製、台湾製が主流とみられるが、当社の類似商品、コピ−商品が出回っている。(例:果物ナイフ)
  • 輸出は海外の業者と直に取引しており、アジア向けが多い。アジアは競合相手ではあるが、Made in Japanのクォリティの高いものを欲しがる層が確実に存在している。また、アジアは地域特性として日本と非常に良く似たところがあり、「アジア向け」として特別意識しなくとも、国内商品をそのまま輸出することが可能である。アメリカ、ヨ−ロッパ等は独自の文化がありそうはいかない。
  • アジア経済危機時には韓国からの引き合いが半年ほどゼロになるなどの影響を受けたがここに来て韓国・タイの回復を肌で感じている。
  • 昨今は円高基調にあり輸出が厳しくなっている。値引き要求もあって値下げしたが、もともとそう利益をとっている訳ではないので厳しいものがある。ただ以前の80円を割り込むような状態と比べれば、動揺しているというほどではない。ただ、心理面での動揺は確かにある。
  • 為替レ−トとしては、1ドル=120円くらいで推移してくれるとありがたい。
  • 主たる輸入先は中国である。品質は良くなってきたが、1回の出荷で求められる数量が多く、小口での対応が難しい。
  • 時代の流れというものを肌で感じる。日本人の特性として、環境への配慮からこの素材が良いとなると全てそれになる。プラスチック類は、環境ホルモン溶出への懸念から、ポリカ−ボネイト製のものをステンレス等の金属や木などに全て切り替えた。
  • 当社では刃物は消費財だと考えている。一般的に消費自体が厳しいのに加え、刃物は各家庭に必ずあるものなので、どうしても買い換えるという必要性がなく、売上を飛躍的に伸ばすというのは難しい面がある。当社はほとんど国内取引であり、輸出は多少OEMもあるが少ない。輸入は全く行っていない。
  • 売上は年−減っている。製品の種類は多いが、1つ1つをみると低迷している。付加価値の高いものをと思うが、現実にはなかなか難しい。単価安いものは売れているが過当競争である。高級品は全くだめである。ヒット商品が出てもすぐにまねをされるという体質があり、じり貧になってしまうという状況がある
  • 当社は家庭用調理刃物、小道具他いろいろやっている。工業用刃物も製造・販売。20〜30%が輸出、80〜70%が国内向けである。輸出先は欧米、中近東、アジアが中心で、大口は欧米である。
  • 最近流行の100円ショップの商品は良いものを食ってしまう懸念もなくはないが、安ければ良いというものではない。材質を落とした大量生産のものは耐久性や切れ味の面で問題があるものだ。最近は砥石を持っていない若者が多く、どうしても使い捨てになる傾向があるが、いくら安くても1ヵ月に1本捨てるというのでは行き過ぎだと考える。良い製品は研ぎ直せば7〜8年はもつ。消費者ニ−ズはかつての「安かろう悪かろう」から、そういう堅実な方向へ変わりつつあるとみている。ここ2年くらいの間に6,000〜7,000 円台に価格が戻りつつあるのがその証左である。
  • かつては「縁が切れる」といって嫌われた包丁がギフト用として売れるようになってきた。一時輸入品で対応していたが、安物はクレ−ムが多く、「安かろう悪かろう」ではギフトとしての意味をなさない。そうした背景から輸入品と国産品を明示するようになった。輸入品は納期がかかりクレ−ムに対処できないが価格は安く、国産品は納期が短くクレ−ムに対処できるが価格は高いという特徴があり、各−の特性を考えることが大事である。
  • 当社は、創業時は製造をしていたが、現在は自社製造比率が20%内外で、主に商社として活動している。部品を輸入して国内で組立、販売なども行う。扱い品目(アイテム)は約4千。PB物、ギフト用品、大手のOEM商品などを多く扱う。純粋な刃物は売上の30%以内。ハサミは関市内の製造品が大半を占める。
  • 売上は昨年が前年比10%増、今年は前年比15%減で不調の見通し。輸出の減少が大きい。輸出がほぼ100%の時期が続いたが、円高を機に内需シフトし年前に逆転。今は内需60%、輸出40%程度である。中期的に見てスペイン、ポルトガル、中近東、東南アジアの国に輸出市場を奪われてきた。価格面では競争できない。輸出は北米・ヨ−ロッパが大半。為替リスクを小さくするために、円建てで輸出をしている。
  • 主力は国内大手の農機、食品機械、ミシン等の業務用の部品としての刃物で80%程度。業務用の刃物は最終消費者の利用する刃物より高い精度を求められる。その他、ビ−ルメ−カ−のギフト用栓抜き等をOEM生産している。
  • もともと関は輸出から国内に転換しやすい商品を作っていたため国内へのシフトが比較的スム−ズにいったという経緯がある。バブルが崩壊してからは5〜10%落ちたままで横滑りしており、他の地域に打ち勝ってきた。全国シェアは、包丁60%、ポケットナイフ50%、はさみ40%、理髪用刃物(カミソリ含む)80%、その他の利器工匠具(つめきり、栓抜きなど)40%である。武生や土佐のように和包丁だけということはない。
  • 当社はポケットナイフの専門メ−カ−として成長してきた。輸出割合が高く、北米・ヨ−ロッパ向けが大半。中国に製造工場を持っているが、ここではOEM生産のみをしている。
  • 海外生産割合は約20%程度。売上額は詳細には言えないが、毎月ある程度の輸出額は維持している。自社ブランドのみの生産販売ではリスクが大きいためOEM生産をしている。一時期、カスタムナイフのブ−ムがあったが、ナイフの事件で内需は必ずしも増加していないと思う。
  • 輸出はかなり減ってきた。関市全体として、昭和59年度のピ−ク時には300億円くらい輸出があったと言われるが、平成10年度は432億円のうち100億円が輸出であり、輸出額の規模は1/3に縮小している。プラザ合意以降の円高や後発国の影響によるものと考えられるが、当社も同じくらいか、もう少し減っている。
  • ポケットナイフ、登山ナイフなどアウトドア関連は多少減っているが、それほど減ってはいない。ポケットナイフは、高級品はほとんど変わっておらず低級品・安物が減っている。
  • 売上は一昨年がピ−ク、今年は前年比20%減で不調の見通し。輸出はゼロ。売上は需要先業界の景況いかんで、長期的には内需は減少基調を見込む。関市の業者が扱う刃物の輸出減の影響はあまりない。需要先業界は、中国等、海外への生産機能移転が進展中である。ただし、現在は部品の刃物は現地で生産できない(技術がない)ので、ここに発注したものを現地に輸送して生産している。そのため、海外生産の拡大も売上にはまだ影響していない。
  • 基本的に受注生産なので、注文を受けてから海外に出していては納期のことを考えると間に合わない。そこで中国から入れたものに付加価値を付けて売るという形をとっている。低級品はよそから買い、高級品を作っているのである。セット品の3つのうち1つを中国製にするというようなこともやっている。
W−2.関市における刃物関連事業所集積の評価

(1)集積のメリット
  • 徐々にに加工業者の転廃業が増加している。対応としては内製化が進むのではないか。零細業者はデザイン、新製品開発の能力がないため競争に勝てない。香港を筆頭に機敏な対応力を海外業者は持つ。流行のスケルトン物も家庭用ハサミなどに浸透しているが、海外の業者の方が時流に対する対応が早く、かつ安い。関市の刃物製造はこれまで分業が細かく整いすぎたために、多品種の生産に適応が遅い。従来の集積は今後、あまりメリットを生まなくなるだろう。
  • 製造量から見ると当社は百人規模の社員が必要だが、実際には50人で抑えている。そのため外注依存度は高く、関市内の加工業に依存している。「プレス」、「焼き入れ」等の部分は全く社外に発注。トヨタの下請け業者など非常に高い熱処理技術が存在する。ただし職人がいることが機械化を妨げる面もある。機械化の方が一定のレベルの品質を大量に生産できることは事実。地場産業としての販売力を持たず、集積のメリットを十分に活かせていない。自分たちで販売しようという意欲はあるのだが、例えば海外販売のリスクや資金の問題があり、現実には難しい面がある。
  • 関市では、自社一貫生産しているところはなかなかなく、基本的に分業体制である。当社ではできるだけ一貫生産を行うようにしているが、少しは外注に出している。
  • 当社では「プレス」、「焼入れ」を関市内の業者に完全に外注している。これらの技術水準は高く、容易に他の業者へはまかせられない。輸出減から加工業者の淘汰が起きて、現在は優秀な部分のみが残ってきている。その意味では昔ほど、集積のメリットがない。加工業者の減少に対しては内製化でしか対応できない。80年代までは「刃物の町」として自覚があったが、現在では、そうしたイメ−ジが薄らいできた。
  • 刃物業者で大手は限られており、ほとんどが中小零細企業である。生産工程は複雑で、外注を頼まなければ生産の方は回っていかない。その点では依然として集中のメリットはある。ロボット工場のようなものは限られた大手だけができるのである。
  • 下請分業体制のためにどこで何を作ったという情報が入りやすい。秘密主義はできない。下請けから全て入ってくるのがメリットである。
(2)生産・技術水準
  • 「学校用ハサミ」、「爪切り」等は国内外で品質にそれほど格差はない。生産機能はコスト面から海外生産が進展すると見る。5年前に中国に工場を設置し、原料のステンレスは日本から供給。洋食器は材料費が原価の50%以上を占めるため、この面での削減が求められる。ステンレスを韓国などから購入することも視野に入れている。
  • NIES製品の品質はめざましく良くなっている。これはアメリカ、ヨ−ロッパのインポ−タ−が指導することが多くなり、技術が向上したものである。OEM生産においてブランドイメ−ジを保つために技術の向上が要求されるという面もある。毎年ショ−ル−ムをのぞくたびにクォリティは数段上がっている。
  • 「研磨」の技術は非常に高いものを持つ。容易に海外の国では追いつけないのではないかと感じる。機械化については県の金属試験場で研究成果があるが、これらは民間からみるとニ−ズがずれており、正直なところ役に立っていない。技術の継承が問題になるが、販売が増加すれば自然に職人の需要が増えるのであり、問題を取り違えている。現状のままでは、後継者を志す者は出ないのは当り前である。またFA化、NC化によって素人にも十分ある程度の製品を製造できるようになり、従来の職人に注文生産するというのは古い形態になりつつある。
  • 海外の技術水準は機械化の実現によって突然、上昇したことが市場で明らかになる。最近の台湾のポケットナイフは価格、品質とも相当な脅威になっている。材料面ではアメリカのメ−カ−も日立の鋼材を使うようになっていて、日本国内のメリットも生じている。
  • 東南アジア、中国では精密性の面から当社の水準に追いつくことは今のところ無理ではないか。また機械化による代替もコスト面から困難だと思う。
  • ロボットを何台か導入してフル−ツナイフ、包丁等の刃付・研削を行っている。クォリティ、安定した品質管理という面では導入のメリットは大きいが、ある程度の量をこなさなければ採算が合わないという面もあり、受注数量の確保が問題になってくる。とはいえ、機械化の流れは確かにある。3K(キツイ・キタナイ・キケン)と言われるが、研磨段階での研磨粉の問題等、刃物業界の職場環境は必ずしも良くはない。50、60代の人は良いにしても、若者はやりたがらない仕事である。研磨・羽布工程は職人の確保が難しくなり機械を入れたという経緯がある。
  • 外注の職人に仕事をやってもらうのは原則として早い者勝ちで優先順位が決まるが、忙しい時には工賃をはずんで自社の仕事を優先的にやってもらうということも出てきた。職人自体が減っているなか、優秀な職人は取り合いということだ。
  • 機械化について研究しつくしたが、機械だけではどうしようもない面がある。経験と勘がどうしても必要となる。焼き入れを機械化しているが、材料によって人間が温度の高低を管理しなければならない。刃付けは100%手作業である。刃付の機械化は難しい。組立等は半自動化している。国内向けは少量生産であり、自動化してペイするほどまではロットが集まらないという問題がある。
  • 高校を出たばかりの人を熟練工の分野にポ−ンと配属してできるというものではなく、社内で同じような仕事をしている人、経験のある者が引き継いで技術水準を維持していかざるを得ない。多能工の中から後継の適任者を選ぶのである。
  • 素材がステンレスに変わって技術はあまり要らなくなった。設備投資をする時は、人件費の削減というよりも新しい物をつくるために機械化を行っている。ただ、機械は高いのでペイできるかという問題がある。
  • 近代化したために手作り商品がなくなってきた。関には伝統工芸士は1人もいないのである。ただ、刀匠は文化庁の関係であり別である。
  • 自社の技術水準は海外やメ−カ−の研究所でも同品質の刃物を製造できなかったことから、受注先メ−カ−からの評価も高いと思う。研磨等一部のみ機械化で、刃付けの部分は完全な手作業である。これらの技術は職人が仕事を通して身につけていく。一人前の職人になるには10年位かかる。当社でないとまかせられないとよく言われる。職人の養成は社内で行い、今年も新卒を採用している。
  • 工程加工業者の技術水準はかなりばらつきがあるのは事実だ。諸外国と日本では切れ味に関する認識の違いもあり、輸出製品においては必ずしも品質の高いものばかりとは言えなかった面がある。
(3)産地問屋
  • 直販の話は確かにあった。量販関係は相手が大手なので、いろいろと取引条件も厳しくなっている。今までは問屋とメ−カ−の間での商談であったが、今ではそれに小売りへも同席するというケ−スも多くなってきた。ただ、直接取引が必ずしもメリットがあるとは限らない。問屋が5割儲けているというなら話は別であるが、こんなマ−ジンでよくやるなというくらい安くやっている。在庫はともかく小口配送や値札づけの問題にも対処してもらっている。直販だと改装に人を出すことを要求されたりと、売った買った以外のおつきあいの部分があるので頭が痛い面もある。もちつもたれつである。
  • 問屋間の競争は以前から厳しくなっている。関市の産地問屋といったイメ−ジで活動しているが、実際は産地に近いというだけではやっていけなくなっている。顧客からの要望に対応するうちに、製品は部品を輸入して、組立・販売が主になった形である。コスト減圧力から流通構造の簡素化は進み、二次問屋の意義は薄れ、これからはなくなっていくだろう。ただ、関市の製造業者にはネットワ−ク力、営業力がないため、直販を拡大する力がないのが課題だと思う。
  • 食品等、毎日売れるものは良いが、刃物のように1日に1つ売れるかどうかというものは、問屋なしでは難しい。メ−カ−は何百点も扱うわけにはいかず、また、1つずつ直販するにしても配送料の方が高くなるので難しい面がある。それなら良い問屋とつきあった方が良い。
  • 当社は、国内はほぼ全て問屋経由で出荷している。輸出は商社経由と海外インポ−タ−との直接取引の2つがある。
  • 大手のバイヤ−はしたたかな面がある。直接取引だから安くせよというが、直販を行うということは問屋の仕事をメ−カ−がやることになり、問屋を吸収合併した形になるのである。全国に営業所・人・土地・建物が要るようになって、結果的には何をやっているか分からない。リベ−トの先渡しを要求された上、約束した数量を売ってもらうことができず、結果的に赤字になったという話も聞く。市場経済というと聞こえはよいが要はたたき合いである。
  • 先が見えないこの時代に問屋は薄いマ−ジンで良くやっている。苦しくなって倒産するところも出てくるのも当然である。
W−3.今後の展望・市場動向等

  • 今後はインタ−ネットショッピングを含め、情報化の流れを意識せざるをえないとの判断から、当社もホ−ムペ−ジを作ったが、今のところそれによって購入された方は少ない。ただ、これから情報インフラが整備され、通信料金が引き下げられれば状況は変わっていくかも知れない。
  • 刃物の市場は飽和しているので新商品開発が重要となる。環境関係、高齢者、福祉、子ども関係の刃物・道具がこれからの鍵となろう。また、大手ではやれないニッチな分野へ向けての商品開発も重要であろう。
  • 包丁は100円物が登場する一方で、食生活の変化から内需は減少していくという厳しい製品になっている。従来の刃物製品から視点を変えて新たな製品づくりを考えていく必要がある。
  • 昭和35年〜40年に関市が世界の輸出市場を席巻し、ゾ−リンゲンが衰退したという歴史がある。これからも製品の差別化等により販売力を強化しない限り生き残りは難しく、ゾ−リンゲンの二の舞になるだろう。特に情報化社会を迎えインタ−ネットを利用して拡大を図らなければ、成長は見込めないとみている。将来、中国や台湾とのコスト比を考えると、会社を自分の子供につがせるべきか悩むことがある。
  • 需要先業界次第であり、機械自体の生産がなくなったらだめになる。その他の刃物部品、例えば食品機械の刃物等は依然として市場が残るだろう。
  • かつてゾ−リンゲンは関市のせいで縮小を余儀なくされて、一部の技術の高い部分が生き残った。輸入の増加で同じことが関市で起きていくだろう。
  • 後継者づくりを各企業が考えている。外注の高齢化による分業体制の崩壊を、自動化、半自動化によって補っていくのも課題である。
  • 技術者の高齢化・後継者難がよく問題にされるが、社内で人材を育てていくしかない。当社ではリストラも断行しており、高齢者はいない。
  • 世の中ではグロ−バルスタンダ−ドと言うが、刃物の世界では現実論として無理。電気、ガソリンが世界共通価格になったかといえば、ならないのと同じである。
W−4.行政への要望

  • 県・市のいずれも行政として何を行うべきかを分かっていない。重要なのは販売力、営業力の強化ではないか。そのためには刃物組合と行政が定期的な情報交換を行うことが必要である。現状は、こちらから相談に行ってもなかなかじっくり話を聞いてもらえないことが多い。フランクフルトの見本市への参加も現状では中途半端で効果がないと思う。品質の向上と共に価格も安くできる工夫が今後必要であるが、そうした民間のニ−ズに応えられるレベルに今の金属試験場はないと感じている。
  • 金属試験場の刃付け工程のFMSは、当社が協力してできたものである。これは設置コスト等から実際の利用可能性は低い。
  • 小規模事業所が多すぎるため、金属試験場などは利用しにくい面がある。また、お互い競争相手であるので、何事も共同でやるというのは難しい。機械が開発されれば、小さな企業でも大きな企業でも同じものができてしまう。
  • 5〜6年前までは金属試験場で刃物工程の初級の講座があった。新入社員には、まず、これらの研修を受けさせた。便利だったが、なくなってしまい残念。最近恒例となっている「刃物教室」は市民に評判が良い。
  • 金属試験場は中規模以上のメ−カ−でなければ有効に利用できない。零細な事業者にはレベルが高くて活用機会が少ないと思う。


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