景況調査
平成9年12月18日発表
97年 10〜12月期実績 98年1〜3月期見通し |
景気後退期に突入の兆しか
先行き不安除去の抜本策が望まれる
岐阜県産業経済研究センターは県内中小企業を対象に「97年10〜12月期実績見込み、及び98年1〜3月期見通し調査」を12月上旬に実施した。以下はその結果である。 |
景況DIの推移(○は見通し数値)
非製造業のみならず、期待されていた製造業にも景況DIの大幅な悪化が見られ、今や県内景気は後退期に突入の兆しが見られる。売上高DIは製造業においてもマイナスが見られ、輸出向け売上も3期ぶりにマイナスとなる。
借り入れ難易感の「困難」の割合も増え、景気の牽引役である設備投資において投資意欲は今期6割以上が「下降」、来期ではこの数値が7割に増える。これは個人消費の低迷に加え、金融不安が企業マインドを冷やしているためと思われる。先行き不安除去の抜本策が望まれる。
- 景況
今期10〜12月期の景況DIはマイナス56.4で、前期比27.1ポイントの大幅下降。内訳では製造業でマイナス54.9(前期マイナス16.2)、非製造業がマイナス60.0(前期マイナス56.7)であった。先回調査の10〜12月期見通しでDI値マイナス15.1と回復への期待感が見られたが、下方修正となった。また来期1〜3月期ではDI値マイナス69.5(製造業マイナス67.3、非製造業マイナス73.9)と更に悪化が懸念される。
- 売上高
今期は「減少」が50%を超え、売上高DIはマイナス26.8と前期よりも15.8ポイント悪化。今までプラスであった製造業でもマイナス22.9に転じ、非製造業ではマイナス36.0と前期比17.4ポイント増加したものの、来期見通しは更に悪化し、DI値はマイナス37.2(製造業マイナス34.5、非製造業マイナス44.0)となる。輸出向け売上高DIもアジア経済不安の影響から、3ヶ月ぶりにマイナスとなる。
- 生産量
今期のDIはマイナス11.8。前期比10.3ポイント悪化し、来期見通しのDIはマイナス23.9と一層の悪化傾向が見受けられる。
- 受注高
今期のDIがマイナス21.4、来期見通しがマイナス35.7と先期以降DI値の減少傾向が見られる。建設業では今期のDIはマイナス28.5だが、来期見通しはマイナス14.2。
- 価格
製品販売価格の今期DIは、マイナス39.6で前期(マイナス37.9)よりわずかに下降。原材料仕入価格は、「変わらず」とみる割合が約7割を占め比較的落ち着きが見られる。
- 採算
今期のDI値はマイナス51.2、来期見通しはマイナス52.2と厳しい状況が続いている。
- 資金繰り
資金繰りは「変らず」が半数以上を占めているが、DI値が徐々に悪化している。借り入れ難易感は「容易」の割合と「困難」の割合が拮抗していたが、今期「困難」の割合が上回り、DI値はマイナス17.4。
- 設備投資
設備投資意欲は、今期は6割以上が「下降」、来期見通しは7割が「下降」の数値を示し全体として下降気味。設備投資実施を「ある」としたのは約4割。
- 雇用状況
「変わらず」とみる割合は7割近くを安定的に推移しているが、ここのところ「不足」割合が「過剰」を上回る状態が続いている。
- 繊維
やや悪化
売上、受注について今期(10〜12月期)、来期(10〜12月期)見通しともやや減少。
依然厳しい状況が続く見方が大勢である。
- 衣服
やや悪化
売上は、今期はやや減少、来期見通しは弱含み。受注は、今期、来期見通しともにやや減少。天候の影響もあり活気出ず、採算面も厳しい状態が続いている。
- 金属製品
やや悪化
売上は今期横ばい来期弱含み、受注は今期来期とも弱含み。
見通しにやや厳しさが感じられる。
- 機械
横ばい
売上、受注ともには、今期強含みであるが来期見通しは横ばいと業種によっては、やや今までの力強い傾向が見られなくなった。
- 陶磁器・タイル
やや悪化
売上、受注について今期、来期見通しともにやや減少。依然として見通し不透明。
- 木材・木工
悪化
売上は、今期減少、来期見通しやや減少、受注は、今期は減少、来期は弱含み。
低価格の家具はアジアから、高級品はイタリア等から入ってくるなど不安材料が多く採算も厳しくなっている。
- 食品
やや悪化
売上、受注ともに、今期は横ばい、来期見通しは弱含み。
消費低迷がスーパーやコンビニの食品にも波及し景況感はやや悪化。
- プラスチック
横ばい
売上は、今期はやや増加であったが、来期見通し横ばい。受注は今期強含み、来期見通し横ばいと比較的堅調に推移。
しかし付加価値の高い商品を取り扱うか否かにより二極分化が見られ、高度化商品に対応した設備投資等も必要である。
- 印刷/紙
やや悪化
売上は、今期弱含み、来期見通しはやや減少。受注は、今期横ばい、来期見通しやや減少。大手メーカー進出による価格競争が懸念される。
- 建設
やや悪化
売上は、今期弱含み、来期見通し横ばい、受注は、今期、来期見通しとも横ばい。
建設工事の受注減は未だ回復が見られない。先行きに対する不安感が景況感をやや悪化させている。
- 商業
やや悪化
売上、受注について今期、来期見通しとも弱含み。消費税アップの影響は少なくなったと思われるが、所得の減少、金融不安等で先行き不安があり、消費者マインドが冷えたままに加え、天候の影響もあり、消費は低迷。
- サービス
やや悪化
売上は今期弱含み、来期見通しやや減少、受注は今期横ばい、来期見通し弱含み。
情報関連は好調であるが、他産業への波及効果は弱。