■関連資料1

第11回出生動向基本調査 結婚と出産に関する全国調査−独身者調査(抜粋)


○調査の概要

 出生動向基本調査は5年ごとに実施されている全国標本調査で、夫婦調査と独身者調査からなる。ここでは第11回調査、独身者調査の概要について報告する。

調査期日:1997年6月1日
調査対象:全国の年齢18歳以上50歳未満の独身者を対象とした標本調査
調査票配布…12,553票 有効票数…9,407票(有効回収率74.9%)
調査事項:(1)独身者の人口学的・社会経済的属性
(2)結婚に関する意識
(3)異性交際に関する事項
(4)子ども・家族に関する意識
(5)ライフコース・ライフスタイルに関する事項
テーマ:独身者の側からみた結婚、家族、子ども、男女関係に関する意識、実態を調べることによって、近年の未婚化・晩婚化の要因を探る
※本報告では18歳以上35歳未満の未婚者が集計分析の対象である


○ 調査結果のポイント

青年層の意識が結婚から離れつつある
  1. これまでの調査結果と比較して「いずれ結婚するつもり」の未婚者が減少し、「(今は)まだ結婚するつもりはない」という者も25歳以上で増加するなど、全体として未婚者の意識は結婚から離れつつある。




  2. その背景としては、「結婚には利点ない」とする未婚者が25歳以上で増加していることが挙げられる。また結婚の利点の内容は、社会的信用や周囲の期待にこたえる、あるいは生活上の便などの結婚の社会的、実利的機能を挙げる者が減っており、結婚はより個人的、内面的機能を果たすべきものと考えられるようになっている。



  3. その結果、25歳以上の年齢層で「結婚する必要性を感じない」とする者が増えている。

異性との交際は意外に低調
  1. 未婚者のうち異性と交際している者の割合は従来から男子5割弱、女子5割強であったが、今回若年層を中心にやや減少しており、青年層の異性交際は意外に低調なまま推移している。
  2. このため、とくに25歳以上では男女とも約半数の者が適当な結婚相手がいないことを独身にとどまっている理由として挙げている。
  3. しかしながら、未婚男女の性経験率は増加傾向にあり、とりわけ女子で変化が大きい。ただし、同棲経験者はいぜん少なく、35歳未満未婚者中5%に満たない。

希望する結婚年齢も″晩婚化″しており、結婚相手には年齢の近い者を望むようになっている
  1. 未婚者が希望する結婚年齢は高まっており、結婚を先送りする傾向が強まっている。希望結婚年齢の上昇ペースは実際に生じている結婚年齢の上昇を上回っており、とくに女子でペースが速い。
  2. また、男女とも自分と近い年齢の結婚相手を希望する傾向が強まっており、実際の夫婦でみられる年齢差の縮小傾向と符合している。さらに「恋愛結婚をしたい」と考える者の増加傾向はいぜん続いている。

女子で専業主婦志望が減り、仕事と家庭の両立を理想と考える者が増加
  1. 未婚女子が理想と考えるライフコースでは、専業主婦コースが減り、仕事と家庭の両立コースが増えるなどこの5年で大きな変化をみせた。未婚男子が女性に望むライフコースでも専業主婦が減り、両立が増えている。ただし、本人が「実際になりそう」と考える予定のライフコースではあまり変化がなく、子育て後に再就職するコースに集中する傾向がある。



結婚後に希望する子どもの数は減少傾向で、女の子を望む傾向が強まっている
  1. 未婚者が結婚後にもちたいと望む子ども数は近年一貫して減少している。また、男子の方が女子より多くの子どもを望む傾向がある。
  2. 希望する子どもの男女構成では、女児を望む傾向が男女ともに強まっている。とくに女子で女児を望む傾向が強い。

ライフスタイルや結婚・家族に関する意識では、男女で大きな差がみられる
  1. 未婚者のライフスタイルは、男子では仕事と趣味、女子では旅行・持ち物・交友に重点が置かれており、総じて異性の交際相手がいる者の方が活動的な生活をおくっている。
  2. 結婚・家族に関する意識では、男女とも伝統否定・個人重視の方向に進んでいるが、その程度は女子の方が先行している。また、結婚意欲の弱い者に伝統否定・個人重視派が多い。



    出典:国立社会保障・人口問題研究所「第11回出生動向基本調査 結婚と出産に関する全国調査 独身者調査の概要」、1998年、厚生省ホームページより。



情報誌「岐阜を考える」1998年秋号
岐阜県産業経済研究センター


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