特 | 集 | 論 | 文 |
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岩間 暁子 (和光大学人間関係学部専任講師) |
以下では被説明変数を「出産意欲」、主な説明変数を「社会経済的地位」および「家族観」とする重回帰分析を男女別におこない、性別によって「出産意欲」に影響を及ぼす要因はどのように異なるのか、を実証的に検討する。各変数の具体的な測定方法については、表1を参照。
表1 モデルに含める変数の測定
被説明変数 | |
1)第一子出産意欲 2)第二子出産意欲 |
子どものいない対象者について、今後欲しい子ども数 子どもが1人いる対象者について、今後欲しい子ども数 |
説明変数 | |
(1)年齢 | |
(2)学歴 | 教育年数で測定 |
(3)家庭内の女性の 就労状況 |
無職=0、有職=1とするダミー変数。 ただし、女性は本人、男性は妻についての情報とする。 |
(4)年収 |
各回答カテゴリーの中央値を与える。具体的には、0円、 50万円、200万円、400万円、600万円、850万円、1250万円、 1500万円 ただし、男性は本人、女性は妻についての情報とする。 |
(5)個人主義志向 | 休日を家族や夫婦で一緒に過ごす場合について、AとBの二つの 考え方をあげます。あなたは今後どのようにしていきたいと思いますか。 A「配偶者や子どもが楽しむことを優先したい」 B「自分が楽しむことを優先したい」 (「Aに近い」〜「Bに近い」の4段階) |
(6)脱伝統的家族観 | 「結婚しても必ずしも子どもを持つ必要はない」 (「そう思わない」〜「そう思う」の4段階評価) |
(7)生活設計志向 | 「何年後までに何をするというように、きちんと生活設計をたてて暮らしたい」 (「そう思わない」〜「そう思う」の4段階評価) |
表2 「第一子出産意欲」の重回帰分析
説明変数 | <女性:N=83> | <男性:N=94> | ||
偏回帰係数 | 有意水準 | 偏回帰係数 | 有意水準 | 年齢 | 0.8115498 | 0.0729+ | -0.15115700 | 0.1396 |
学歴 | -0.00836867 | 0.9391 | -0.01908485 | 0.8458 |
職業の有無 | -0.00203149 | 0.9852 | -0.02958487 | 0.7761 |
年収 | -0.09002325 | 0.4213 | 0.19241143 | 0.0631+ |
個人主義志向 | -0.17104240 | 0.1286 | 0.19241143 | 0.9541 |
脱伝統的家族観 | -0.25530910 | 0.0228* | -0.39369957 | 0.0001** | 生活設計志向 | -0.02570893 | 0.8115 | -0.12324065 | 0.2166 |
モデルの有意水準 | F値=2.686 0.0154* | F値=3.805 0.0012** | ||
決定係数 | 0.2005 (0.1258) | 0.2364 (0.1743) |
注)**は1%水準で有意、*は5%水準で有意、+は10%水準で有意 注)括弧内の数字は修正決定係数をあらわす |
表3 「第二子出産意欲」の重回帰分析
説明変数 | <女性:N=121> | <男性:N=120> | ||
偏回帰係数 | 有意水準 | 偏回帰係数 | 有意水準 | |
年齢 | -0.26750692 | 0.0032** | -0.25837483 | 0.0251* |
学歴 | 0.01774660 | 0.8465 | 0.09356621 | 0.3685 |
職業の有無 | -0.16819602 | 0.0615+ | -0.14329312 | 0.1438 |
年収 | 0.06369278 | 0.4725 | 0.05992169 | 0.5500 |
個人主義志向 | -0.27230614 | 0.0046** | 0.11525403 | 0.1986 |
脱伝統的家族観 | 0.08488774 | 0.3441 | -0.09325148 | 0.2947 |
生活設計志向 | -0.03746140 | 0.6603 | 0.16660012 | 0.0629+ |
モデルの有意水準 | F値=4.750 0.0001** | F値=2.685 0.0131* | ||
決定係数 | 0.2273 (0.1795) | 0.1437 (0.0902) |
注)**は1%水準で有意、*は5%水準で有意、+は10%水準で有意 注)括弧内の数字は修正決定係数をあらわす |
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