動き出したソフトピアジャパン

岐阜県中小企業団体中央会  会長
(社)岐阜県情報産業協会  会長
中部コンピューター株式会社 会長
辻 正


 

 今年6月、大垣加賀野に開業したソフトピアジャパンは、5ヶ月間で18万人の来訪者がありました。そこに働く職員たちの献身ぶりを見て、「人をのみ渡し渡して己が身は、岸に上らぬ渡し守かな−一休」を思い出した程です。設計者が「鎮守の森のような環境で素晴らしい仕事を」とのことでしたが、57社が入り、そのうち17社の建設が逐次進む様子を見ていると、それは大丈夫かなと思うくらいの活況です。

 これは何かが生まれる。訪れる人たちは、感じて下さるだろう。昨日は(社)大阪工業会と(社)岐阜県工業会が「美濃・飛騨−浪速交流会」と名づけた会合をされたし、今日は全国自治体からやって来た人たちが、「インターネット駆け込み寺」と称するセミナーに参加し、慶応大学石井威望教授の指導を受けた。

 ソフトピアジャパンのウィングは米国に、マレーシアに、ハンガリーにと拡がって行く。ここに立地する企業は情報産業であり、ソフトピアジャパンと共に世界に伸びていくでしょう。私は、情報産業は知的生産業であり、第4次産業と思っています。ここで生産されるコンピューターの利用技術が国内外を問わず、貢献する日がやって来るでしょう。製造業が情報技術を活用し、新しい分野を拓き大きなエネルギーで日本を支えていただきたい。幸い岐阜県は製造業が32.1%(県民経済 計算より)と、密度が高いと聞いております。

 アジアとの賃金差、英語圏との情報格差、そして心配される産業の空洞化、さらには財政の危機などを克服する道は厳しい。中国のある首脳は「30年・40年後には日本はなくなるかも知れぬ」と言ったそうです。ソフトピアジャパンの一粒の種は小さいかも知れませんが、しかし明日の日本にとって役立つ芽を出すでしょう。ソフトピアジャパンの職員たちの汗も、きっと実を結ぶでしょう。

 私はタイミングよく「全国地域情報産業団体連合会」の会長に就任しました。大宮・広島・名古屋で、近く鳥取・盛岡で業界の方々と懇談を続けます。今、情報化で注目の岐阜県から何を主張すべきか、考え考えの毎日です。岐阜県の経済指数は、電力消費量でも、最低賃金のランクをとってもよくありません。他県に負けるわけにはいきません。私たち情報産業で働く者も一隅を照らす心で努力しております。経済界の皆様のご指導を心からお願いします。