電子ネットワークで交流を!!
〜「ぎふ21MY−NET」開設から一年〜


 

<ぎふ21 MY−NETオープン!!>

 昨年あたりからでしょうか、インターネットに代表される情報ネットワーク関連の話題が世の中を賑わせるようになってきました。今年になって、その加速度を増しているようにも思われますし、1997年以降も今年以上のスピードで進化することでしょう。

 当センターでも昨年11月に県内中小企業の交流の場を電子ネットワーク上で提供することを目的として、パソコン通信「ぎふ21MY−NET」を開設しました。本年6月にオープンしたソフトピア・ジャパンを中核とする岐阜県の情報化戦略の中で、産業界の電子ネットワーク上での交流の場も必要であるという認識のもと、開設が計画されました。

 では、岐阜県の情報化戦略とは何か? 

 ひとことで言えば、岐阜と全国各地さらには世界との情報の発受信する「情報の港」としての「高度情報基地ぎふ」の形成を推進することです。この中で、産業界の情報化もメインテーマの一つになってきます。このことの背景には、経済のグローバル化に伴う「産業の空洞化」という言葉に象徴される、地域の産業衰退や雇用の減少に対する危機感があるといえます。このような状況下、中小企業同士の、業種を越えた、新たな連携やネットワーク化の必要性が議論されるようになってきました。そのための有効な手段として、パソコン通信が脚光を浴びています。

 「ぎふ21MY−NET」は、平成7年11月1日にオープンしました。アクティブでホスピタリティに富んだ会員に恵まれて、非常に活発な交流が続いています。会員は約350名(平成8年9月末現在)、1ヶ月のアクセス回数は約1500回、各サービスの利用回数は1ヶ月1万回を越えています。9月には大手商用ネットワークの事例研究会で活発なネットワークとして取り上げられました。今後も会員数の飛躍的な増加をはかりつつ、コンテンツの充実や会員の参加意識を今ままで以上に喚起し、岐阜県で一番の、開かれた公共ネットワークを目指していきたいと考えています。

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<新たな交流の場所を提供しよう!!>

 一年間、パソコン通信の運営にSYSOP(システム・オペレーター…パソコン通信運営の管理者。ネット上では最大の権限を有し、ネット全体を管理する)として携わってきました。その間に経験したことや情報ネットワークについて考えたことの一端を紹介するのも何かのお役に立つかもしれないと思います。

 パソコン通信を運営するからには、やはり開設目的にかなった、基本的なスタンスというのを確立しておく必要があります。これが無いと、いざ事が起きたときに運営者として対応ができなく恐れがあります。私は「新たな交流の場所を提供する」、「公共ネットである」この二点を念頭に置いています。

 まず、完全実名主義です。公的機関が運営するネットである以上、運営費用は税金が使われるわけですから、参加者一人一人が社会人あるいは学生として責任ある参加が求められます。いやしくも、よもやま話や井戸端会議に終始したり、さらにはメンバー同士の中傷合戦やその他巷言われているようなよからぬことがネット上で起きることはなんとしても避けねばなりません。そのためには、完全実名主義が良いのではないかと考えます。従って、オンライン、オフラインを問わず、実名以外の登場は認めていません。このことを参加の大きな壁であると考える向きがあることは承知しています。しかし、参加者がこのことが壁であると感じたならば、会員は増えなかったでしょうし(1年で3倍増)、現在のように活発にもならなかったと思われます。

 次に、パソコン通信は新たな交流を生む道具の一つであると考えます。電話やFAXがあって、パソコン通信もあるんだと理解しています。コミュニケーション・ツールが一つ増えたんだと思います。ですから、パソコン通信を使ったコミュニケーションは何も特殊な人のために、特殊な目的のためにあるのではなく、日常のコミュニケーションの延長線上にあるべきだと考えて運営しています。ですから、前述のこととは相容れないところもありますが、よもやま話や井戸端会議的なコミュニケーションもあるのが自然な姿だと考えています。あくまでも程度の問題です。パソコン通信に普通の市民がスムーズに入ってこれること、これは普及の上でも極めて重要な要素です。

 さらに、パソコン通信での交流から何かを感得することです。これはどういうことかと言いますと、人間には一人一人個性があり、考えていることは多様です。このことを念頭に置いて、一人でも多くの人がパソコン通信での交流の中で、自分自身が何か触発されることを期待しています。そこから、個人的であれ、ビジネス上であれ何かを生み出す可能性が生まれる。そのために、パソコン通信を上手に使ってほしい。こんな願いを持っています。そのために、特に会議室の運営では相当に自由度を持たせている上、ネット上では徒に結論を求めないことにしております。そこでの交流は、あくまでもきっかけなんだと位置づけています。メンバーが他人の考えを聞き、自分の考えを表明し、さらに自身の考えを確認したり修正したり、ひょっとしたらフェイス・トゥー・フェイスで意見交換をする。こんな状況が生まれてくれば良いと考えています。情報ネットワークでは多様性が命だと考えます。コンテンツが面白い、役立つ、そうすれば交流が広がる。交流が広がって目に見えるものが生まれれば、情報ネットワークの有用性が理解される。こういった好循環を作り出すことができれば成功です。

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 <面白い・役に立つ!!>

 多くの方にとって、パソコン通信はなじみの薄い存在です。一体どんなことをやっているかと思われる向きもあると思います。「ぎふ21MY−NET」では、双方向性を持たせたコミュニケーションを重視しています。電子会議室と呼ばれるパソコンの画面を使った意見交換が非常に活発に行われています。パソコン通信には、データベースのような一方的な情報提供型の利用もできますが、電子ネットワーク上の交流の場所を提供するという開設目的の点からも電子会議室での交流をメインに据えています。もちろん、当センターの他、県庁をはじめ、商工関連機関・団体から提供される情報も数多く掲載されています。

 ここでは、メインである電子会議室の様子をお伝えします。会議室は全部で七個開設しています。会議室には各々タイトルがついています。「会員の広場」、「パソコンとネットワークの談話室」、「自社紹介・PR」、「企業人交流サロン」、「メディアミックス専用会議室」、「産業経済研究センターQ&A」、「自己紹介」の七個開設しています。特に、「会員の広場」、「パソコンとネットワークの談話室」、「メディアミックス専用会議室」は、面白くて役に立つお話が多くて、アクセスが集中しています。

 「会員の広場」は、フリートーキングの会議室です。特別なテーマは設けずに自由にその時々に出されたテーマについて意見交換をしたり、日常会話の延長であったり、自由な情報交換が行われています。テーマに自由度を持たせているため、また電子ネットワーク上で結論は求めませんので、みなさんは自由闊達に発言していらっしゃいます。最近話題になったことでは、県内で運営されている草の根ネットについての情報交換が行われました。商工会議所や青年会議所では、パソコン通信を使って、メンバー同士の情報交換や情報共有を進める動きが出ています。このことについて、実際にネットを運営した経験のある方とこれから運営をしようという方との情報交換を活発に行われました。いま一つは、電子会議室で毎週末の天気予報がメンバーの方(この方は気象予報士の資格を持ったアマチュアの人です)のご好意で発表されています。天気予報は、ビジネスでもプライベートでも欠くことのできない情報です。多くの方から好評をいただております。その他、お堅い話題から軽いお話まで、なんでもあります。まさに日常生活の延長線上にある雰囲気を醸し出しておりまして、どなたでも気軽に入ってこられると思っています。

 「パソコンとネットワークの談話室」は、パソコンとインターネットなどのネットワーク関連の話題だけに絞った会議室です。ここは、情報交換の場所としては、まさにうってつけの場所となっております。昨年の今頃、世の中を賑わせたウインドウズ95の話などはパソコンのベテランのメンバーの方が親切丁寧なアドバイスを電子会議室で展開してくださいまして、どれだけの方の手助けになったことかと思っています。また、地域の情報化、産業の情報化など、情報化に関する会員の方の活発な意見交換も行われており、多くの人の意見を聞くことができます。また、最近ですが、インターネットについてのお話の中からホームページの作成教室をやろうという話が自然発生的に出てきまして、ボランティア運営でホームページ作成教室が開催されました。これは、産研センターで企画したものではなく、メンバーの中から自発的にやろうということになったものです。会場設定から講師までメンバーの方がボランティアで務めています。今後も継続的に開催されるようです。こういった電子ネットワークで知り合った人々が新しいことを始める。また従来とは違うやり方で何かをやってみる。これこそが新しいスタイルの異業種交流のきっかけだと思います。この交流はみなさんが自発的に集まって行われたところに大きな意味があります。こういった動きがもっと増えることを願っております。

 「メディアミックス専用会議室」は、パソコン通信の電子会議室と岐阜ラジオの番組を結んで電子会議室でのやりとりを番組で放送して、パソコン通信に縁のない人にもパソコン通信の世界を知ってもらおうと考えてやり始めました。マスメディアであるラジオからの反応は計れないですが、相当数の方がラジオを聞いているものと期待しています。パソコン通信とラジオ番組を繋げてしまったのは、東海地方では始めての試みだと思います。全国的にも珍しいと思います。

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 <ネットワーク・コミュニケーションで求められるものは??>

 今後、パソコン通信やインターネットが今以上に普及すると、好むと好まざるとに拘わらずに電子ネットワーク上でのコミュニケーションが利用されるものと想像されます。では、パソコン通信に代表される電子ネットワーク上での交流を進める際に、私たちに求められるものは何でしょうか。思いつくままに列挙してみます。

 第1に、ギブ・アンド・テイクの精神を持つことであります。がしかし、私は精神だけでは不足だと考えます。相手にとって何かメリットがあることを提供するためには、自らの専門性を磨くことは今以上に求められると考えられます。相手にとって、有用と評価されるようなものを持たないと徐々に離れられてしまします。専門的なスキルを磨くことは、ネットワーク上におけるコミュニケーションの発展に是非とも必要です。相手から情報を「取る」だけの人は孤立の危険性すらあるのではないでしょうか。

 第2に、自立的な個人の形成です。このことは、データやコンテクストに対する価値判断の際に重要なのは言うまでもありませんし、自分の意見を自分の言葉で表明できることは、ネットワーク上でのコミュニケーションの円滑化、また企業内においては意思決定の迅速化や的確な判断を行うためには、今後重要な事だと考えられます。アメリカでは、自分の意見を表明できないビジネスマンは自分の無能をさらけ出すことになるだけだそうです。日本がアメリカと同じだと言うわけではありませんが、重要な要素ではあると思います。これとは裏腹ですが、他人の意見を尊重する精神も重要かと思います。ネットワーク上でのコミュニケーションの場合、相手の顔や声が見えない聞こえないので、自分の意見をはっきりと表明するとともに、他人の意見をよく聞く姿勢は重要です。

 第3に、情報リテラシーの向上を図ることであります。このことのために必要なことは「理解・尊重・活用」であると考えます。従来型のコミュニケーションとは違う側面を持つネットワーク・コミュニケーションについて、一人でも多くの人が理解を示すこと、たとえ自分自身がその場に参加していないとしてもです。また、その場で行われているやりとりについて、その有用性を理解した上で尊重されること。さらに一歩進んで、従来とは違った発想を生む可能性を秘めたネットワーク・コミュニケーションを、ビジネスでもプライベートでも十分に活用できること。各人が置かれた様々な状況や自分自身の情報機器に対する習熟度を踏まえた上で、こういった姿勢を持つことが重要かと思います。無論、一人でも多くの人が,老若男女・社会的地位を問わず、参加できうる環境づくりをさらに進めることは重要であります。

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 <目に見えない壁??>

 世の中、情報化社会と言われていますが、21世紀は「ネットワーク社会」だと考えます。情報化社会の次に来るのはこれです。昨今の、インターネット・パソコン通信に代表される情報ネットワーク産業の勃興そして隆盛は、来るべき「ネットワーク社会」の姿を示唆しているようにも思われます。しかし、情報ネットワークの恩恵を受けている人はまだまだ一部の人にすぎません。パソコンという物理的な壁が大きいのは確かです。ですが、私にはもっと大きくて、目に見えない壁があるように思えてなりません。「ぎふ21MY−NET」をオープンしてから、数え切れないくらいの人からお問い合わせをいただきました。また、参加していただいた方との数多くのコミュニケーションの中から、いろんな状況を垣間見ることができました。

 「目に見えない壁」とは、何なのでしょうか?
 私は、個人の心の中で「ネットワーク意識」の概念が固まっていないことが大きな壁に思われます。ネットワーク意識というのは、極めて多様な性格をもつものだと考えられます。有り体に言えば、一人一人が個別に考え、評価し、固めていくものであります。情報収集の手段としてのみ利用する人、情報の発信に利用する人、オープンなネットワークに自発的に参加する人、社内ネットに強制的に参加させられる人等々、ネットワーク参加の動機とかスタンスも多様です。ですから、意識が多様であるのは,当然のことであります。
 このような状況下で、「見えざる壁」を越えるためには一人一人が如何に自立しているかにかかってきます。それと、旺盛なる好奇心を発揮して「未知との遭遇」をエンジョイできる「勇気」があるかどうかです。そこから新たなチャンスや可能性を発見できる人が増えることを期待しています。

 転換期と言われて久しい世紀末ですが、新たな発想が次の時代を作るのでしょう。新たな発想は、新たな出会いを発見することを契機として生み出されるもの
だと思います。パソコン通信は、このための「場所」としては極めて有効であります。ここにも、地域活性化のための一つのヒントが隠されている予感がします。

(情報部 主任研究員 馬渕行治)


 

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