企 業 紹 介 | |||
「音の出るタイル」で視覚障害者の社会参加を支援
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(株)セ レ マ
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誰からも好かれる製品を目指して | |||
「バリアフリー製品のなかには、 それを必要とする人以外には使いづらいもの、 危険なものもあり、 ともすると嫌がられるという側面があります。 当社は、 誰にでも使いやすく、 誰からも好かれる製品づくりを目指しています。 それこそがユニバーサルデザインだと思っています。」 こう語るのは、 岐阜県多治見市にあるベンチャー企業、 セレマ代表取締役安江雅夫氏である。 安江氏は電子回路の設計に携わった後、 タイルメーカーに転職。 1995年にセレマを設立。 サラリーマン時代の2つの仕事での経験をフルに生かし、 視覚障害者歩行誘導タイル 「ナビ-タイル」 などを開発・製造している。 | |||
音の出るタイル | |||
ナビ-タイルは、 電磁界による反射を利用して、 白杖式携帯用音声案内器から音声情報を取り出せるようにした 「音の出るタイル」 である。 音声案内器を持っていない利用者には、 表面上の絵文字・点字文字によって現在地や進路の状況等の情報をタイムリーに提供できる。 点字文字タイルは、 現在45種の清音を表すものに加え、 濁音、 半濁音、 拗音、 数符を示す4種類のものがある。 絵文字タイルは、 丸3つで赤・黄・青を表現する 「信号機」、 上からみた引き戸をイメージさせる 「出入り口」 など、 12種類があり、 点状タイルと組み合わせて使う。 タイル内部の反射波の発信部は無電源・無半導体回路で構成されており、 配線も不要。 そのため従来のタイルと同様に敷設でき、 メンテナンスやランニングコストも不要。 電界方式によるものでは雨が降ると電波が吸収されてしまい、 検知エリアがはっきりしないという欠点があるが、 同社の採用した電磁界方式では、 そのような心配もなく、 条件の厳しい野外や、 水没した状態でも安定して使えるという。 「1人で外を歩ける視覚障害者は20〜30人に1人で、 それも慣れた場所でしか、 なかなか歩くことができません。 それ以外の方は外に出て、 文化に触れたり、 買い物したり、 レジャーを楽しみたいという欲求を胸にしまい込んでしまっている (安江社長)。」 視覚障害者が歩行中に一番困るのは、 人とぶつかった時にはずみで方向が変わってしまうことだという。 相手は 「すみません」 と言って去っていってしまうが、 こちらは衝突時のショックで体の方向が変わり、 自分が今どの方向を向いているのか分からなくなってしまう。 そんな時に役に立つのがタイルからのインフォメーションである。 南向きに歩いていたのが、 衝突された反動で、 現在東に体が向いているというようなことが、 音声案内等によって分かるのだ。 更に、 現在地がどこの町の何丁目何番地であるというような詳細情報が得られれば、 健常者が地図を携帯しながら電柱に書かれた情報を読み取るのと同様の感覚が得られる。 タイルから情報が取得できるようになれば、 もっと積極的に街に出ようという人も増えるだろう。 開発のきっかけになったのは、 ご母堂が脳梗塞で倒れられたこと。 病院の床に設置された視覚障害者用ブロックの凹凸の影響で、 車いすの乗り心地が非常に悪いと感じた。 「せっかく設置したバリアフリー製品も、 使う人の立場が変われば嫌われてしまう。 嫌われないように凹凸を無くすにはどうしたらよいかを考え、 音声支援装置を思いつきました。 ヒントは書店等に設置された盗難防止装置です。 ただ、 機械を持っていない人や、 万が一機械が壊れた時のために快適な高さの凹凸を考えました。 材質的にも滑らないように工夫がしてあります (安江社長)。」 その人柄の良さと熱意・理念に共感した障害者団体・盲学校をはじめ、 多くの協力者を得ながら、 携帯用音声案内器の小型化・コストダウンがはかられ、 タイルの表面部分の改良がなされてきた。 「誰からも好かれる製品にするには、 タイルに健常者にも使える表示を追加したり、 ライバルにも気に入ってもらわなくてはなりません。 視覚障害者のための各種情報支援システムの開発が進んでいますが、 あれもこれも持たなくてはならないということを避けるために、 当社の杖一本で全ての音声案内をカバーできるようにしていくつもりです。 ゆくゆくは携帯電話を胸ポケットに入れる感覚でご利用いただけ、 外国人の方にも英語やドイツ語等で対応できるようにしていきたい (安江社長)。」 若者にとって今や携帯電話が必須アイテムであるように、 同社の製品が視覚障害者用にとって不可欠のモバイル機器になる日が来るかも知れない。 | |||
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<会社概要> 株式会社セレマ 代表者:代表取締役 安江雅夫 設立 :1995年 資本金:1千万円 所在地:岐阜県多治見市生田町6丁目214番地 TEL:0572-24-5588 FAX:0572-24-5588 URL:http://village.infoweb.ne.jp/~celema/ E-mail:yasuem@mb.infoweb.ne.jp |
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